ベーグルの穴から見えた日記

気狂いパン屋。

FI237294_0E.jpg
私はとうとう知ってしまった。すさまじいパン屋を。名は「ベニヤ」。そのすさまじい評判を聞いた時点で、既に私は確信していた。このパン屋は絶対、私の心のど真ん中に剛速球をぶち込むに違いないと。しかしオフィス街のパン屋であるベニヤは営業時間的に行きづらかった。渡米を間近に控え、前日に昼の派遣の仕事を無事に終えた金曜日。今日、行くしかない!
情報元である友だち(いや、パンの師匠だ!)が、会社の貴重なランチの時間に私の初ベニヤにおつきあいしてくれて、待ち合わせて店へと向かう。 店構えはいかにもオフィス街のパンヤさん、でもあやしいシェフ人形の首にかかった「とりあえずいろんな色で書いてみた」的パネル。そのランキングに並ぶパンたちのどぎつい名前。入る前から、すさまじさ炸裂。期待に胸が高鳴る。

FI237294_1E.jpg
店内はお昼休みの人でごったがえす。焼きたてのパンがどんどんトレーで運ばれてくるのだが・・・、す、すごい! どれもこれも、何ものかが噴出してたり、こんもり乗ってたり・・・どべーっとしてるのだ。写真なんかじゃすごさが100万分の1も伝わらなくて残念。
焼きたての人気商品、トマトボール(画像3右下)をトングでつかむと、溶けて流れていたチーズが糸を引いて容赦なくそこらにくっついた。「ぎゃあ、チーズがくっついたー」というと、焼きたてのトレイがあるでもないのに奥からおじさんがひょいと出てきて、「くっついちゃった? だいじょうぶ?」と声をかけてくれた。
近くの公園でいよいよ実食。ああ、食べる前から興奮しすぎ。

FI237294_2E.jpg

近くの公園でいよいよ実食。
トマトボール。んん? なんだこの生地? やわらかくてぬちゃっして、まるで生焼け。そこに熱々のトマトもチーズもぬちゃー・・・うまい!
もう少しかため(ハードだなんて表現、似合わない!)の生地に炒りタマゴの挟まったパン(右上)。何気ない炒りタマゴが、なぜか絶品! そしたらこれは味付けはいつもバラバラなんだって! なんじゃそりゃ!
グラタントルティーヤ(左上)は、何気に生地の端っこをパリッとさせてしゃれたかんじだけど上にまぶした白ゴマが意味不明、具だくさんのホワイトソースはなぜか甘く、しかしコショウが効いて、またも意味不明!
そしてはちみつバター(左下とアップ画像)。このバターの量! 黒糖の生地には、はちみつがたっぷりでべとべと。糖に糖かよ! かじるとむちょっとしてもちろん超甘い、でも同時にバターが、焼きたての熱さでとろけてキラキラ光る海と化したバターがすごくしょっぱい!

FI237294_3E.jpg
たぶん、読んでも理解してもらえないだろうと自覚している。これらすべて、ゲテモノパンとしてではなく、本当に絶品なのだ。全てが絶妙のバランスなのだ! すべて、作り手の計算の上なのか? ・・・ありえない! パンを見てるだけで、作る人の「サービスサービス!」ていう声が聞こえてくる。多ければいいと思ってるはずなのだ。バランスとか考えてるわけがないのだ。なのに絶妙。じゃあ天性の才能? 天然? ・・・いや。天然なんてことば、ベニヤに似合わない。出来あいのものとかたくさん使ってるはずなのだ。素材にこだわるとか、皆無なのだ。なのに絶妙。なぜだー!

FI237294_4E.jpg

私はお店でのおじさんを思い出した。用もないのにひょいと出てきたおじさんの顔は、確かににやりと笑っていた。おじさんは自分のした「サービス」が実を結んだ瞬間(チーズが糸を引いてあたりを汚す)がたまらなくうれしかったのだ、きっと。そのためにパン屋をやってるに違いない。
私は、最近では公言してはばからないが、突き抜けたきちがいが大好きなのだ。このパン屋は、きちがいだ! 私の中でいちばんの誉め言葉を捧げてしまうほど、すさまじいパン屋だった。
さて。次の平日は月曜かー。あー遠いなあ。早く食べたいなあ。他のも試したいなあ。(半分は本気な自分が怖い・・・。)
関連記事

↑↓ 関連記事?? 実のところ、ランダムセレクションの非関連過去記事ですが・・・

コメント


管理者にだけ表示を許可する