ベーグルの穴から見えた日記

威信をかけた大一番のゆくえ。

この国に来てからというもの、ベーグルよりも、ケーキよりも、ずっと気になっていたものがある。それが実は、冷凍食品。
冷凍食品といったら日本だってかなりすごい。しかし、味を本格的にするために日夜研究を重ねている日本とはまったくがんばる方向性が異なり、そしてその極みがこのワンプレートディナー。ひとつの冷凍食品の中にメインとつけ合わせ、さらにデザートまでついて、これだけで立派なディナーになるなんて、なんて便利なの!(と思うらしい。)

しかしこれ、おいしくないともっぱらの噂。さもありなんというかんじだけど、とはいえ、いちどは試してみたい。考えてみれば、アメリカでこれはまずいと言われ日本人の舌に合わないものにも果敢にチャレンジしては、「案外おいしいじゃん」と打ち勝ってきた。ここらで王者に挑んでみようか。


という決意の下か、たまたま安売りだったからか知らないが、とうとう念願のワンプレートディナーを買った。チキンからステーキからあらゆるメインが10種類近く並ぶ中、私が選んだのはフィッシュスティック。
機内食もほぼ100パーセント肉を選ぶ私がここで魚を選ぶなんてめずらしい。肉よりも失敗がないかなあと思って。さらに、アメリカの味・マカロニ&チーズ、デザートのチョコブラウニー。どうだ。失敗がありえない、最強の(最弱っていうのか、こういうときは?)布陣。
・・・今回の私、かなり慎重である。大一番の予感がびしばしするのだ。
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あけたところは、こんなかんじ。・・・なんだか不安になる。だ、だめだ、気持ちが負けたら、負けなんだ! これはおいしいんだ、おいしいに違いない! 祈るような気持ちで、電子レンジに投入。

数分すると、なんだかいい匂いがしてくる。魚の匂いと、ブラウニーの焼ける匂い。少し気分が盛り上がる。

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できました。まずは、マカロニ&チーズをすくう。なんだか、水っぽい。こ、これは・・・離乳食みたい。マカロニとチーズしか入ってないマカロニ&チーズを、ここまで微妙なものにできるとは・・・うう、敵は手ごわい。しかし、気を取り直してメインフィッシュスティックをつまむ。
これは、なんだか、衣ばっかりだ。魚のにおいだけはものすごくするのに、なぜ・・・。自分ちにあったタルタルソースをたっぷりつけて、魚だと思い込んで食べれば、魚だったような気がする、というかんじ。ううむ・・・。しかししかし! ブラウニー! 私に、食べられないスイーツはない! かかってこい!
ブラウニー、というか、なんだかのりみたいにねっちりした物体は、甘かった。みんながよく、歯がきしむ、というのがちょっと分かった。

・・・白旗。まいりました。

しかし。
これだけは言っておきたい。私は全部きれいに食べた。
意地になって口に押し込んだというほどには、まずくはない。いや、絶対においしくはない。微妙。食後感も、微妙・・・のひとことだった。
知ってる人なら知ってると思うけど、この私が、この私が、こういうふうに言うということは、かなり微妙なのだ。

箱に書かれたことばによれば、「50年以上も愛されている商品」らしい。むむう、何故? もしや私の戦略ミス? ステーキを選べば、おいしかったのかも? うう、気になる・・・。定価では絶対買わないけど、99セントのときなら、もういちどぐらい違う味を試してみたい気も・・・。
もしや、みんなも私みたいにこうやって、なんだかんだで買い続けてたりするのだろうか? ともかく、あらゆる意味で、完敗だったのである。


* ジャンルの項目が少ないから、「その他おいしいもの」に分類されてしまう・・・完膚なきまでに打ちのめされる私・・・。アメリカは強かった・・・。

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人にやさしく。

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今日はサンクスギビングデーで祝日。

サンクスギビングデーは、イギリスからアメリカ大陸に移り住んで最初の冬に、食糧を分け与えて生きるノウハウを教えてくれたネイティブアメリカンに感謝するもの。「その後ちゃっかりネイティブアメリカンを追い払って勝手に国を作ったくせに、よくもまあ平気な顔して感謝できるねえ!」と、この祝日を嫌がる人もいるらしいけど、とりあえず私たちは、収穫感謝祭としてお祝いしましょう!

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というわけで向かったのは、恒例行事・サンクスギビングパレード。去年のこの時期もNYにいたのだけど、パレードは見損ねた。今年こそは見なくてはー!
Macy's主催のこのパレード、たくさんのどでかいバルーンが、セントラルパークからブロードウエイを下って、34丁目にあるMacy'sまで行進するのだ。ものすごい人だけど、バルーンの迫力は想像してた以上にすごい! バルーンだけじゃなくてセサミストリートのキャラクターを乗せたセサミバスとか、ハーシーズバスとかもある。鼓笛隊だの、ピエロだの、チアリーディングだのと盛りだくさん。

人気のキャラクターのバルーンがやってくると、みんなわあわあぴゅーぴゅーと大はしゃぎで手をふる。いちばん歓声が上がったのは、大人気アニメ主人公、スポンジボブ。(画像1の奥にいる黄色い物体。)ある筋からの情報だと、「クレヨンしんちゃん系くだらなくておもしろいマンガ」らしいが、まだ私は見たことはない。

チャーリー・ブラウンも来た!(画像2)通りの向こうからやってくるその坊主あたまを見て、私は大好きなアニメのキャラクター・Caillouが来たのかと思って興奮していたけど、近づいてみたら彼でした。でも、結構な歓声が上がっていて根強い人気。

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そしてこちらも子供向けアニメのキャラクター、グリフォード。(画像3)
家ぐらい大きい犬の話なので、まさに実物大! 近くにいた女の子が、「He sure is so big!」ってはしゃいでいた。

パレードが終わった後は、教会へ。なんと教会で、サンクスギビングディナーが食べられるイベントがあるんだって!
礼拝堂にはたくさんの人がいた。クリスチャンの人ももちろんたくさんいるし、私たちみたいにディナーにつられて来ている人もいるのだろう。賛美歌を歌い、サンクスギビングの由来のお話を見たり。(賛美歌の歌詞も、お話の映像も、パワーポイントです。教会も、ちゃんとハイテクだわ!)そしていよいよ、ディナーの時間!

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いったいどの程度のものが出るんだろう、無料でふるまってくれるんだからほんの試食程度でも文句は言えないよね、などと思っていた私たちの想像をはるかに超えて、階下にはあらゆる種類のサンクスギビングディナーが用意されていた。
ターキーとそのスタッフィング、ヤム芋の甘露煮、ハム、温野菜、生野菜サラダ、ビスケット、ターキーにかけるグレービーソース、きのこクリームソース、クランベリーソース。絵に描いたような、伝統的サンクスギビングディナー!
牧師さんの話によると、何人もの方が、何日も前から用意してくれていたものだという。それはそうだ。まるまる4羽焼いたというターキー、すべてのソースはもちろんハムまであらゆるものが手作り、定番のグレービーソースの味は毎年改良を重ねている自慢の味だし、きのこクリームソースはオリジナル。大変な手間と、愛情が詰まってる。アメリカの家庭で、お母さんとかおばあちゃんが作るサンクスギビングディナーと、同じぐらいかもしれない。
どれもこれも本当においしかったけど、いちばん好きだったのがハム。一緒に焼かれたパイナップルと、クランベリーソースで、分厚く切られたハムを食べる。クランベリーソースはターキーにもかけていいらしいけど、私はハムと合わせるのが断然気に入った!

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「たくさんあるから、どんどん食べてね」と言われるままに存分に料理を満喫していると、さらに「デザートもありますよー」の声!! す、すごい!!
これがまた、パンプキンパイに始まって、ピーカンナッツパイ、アップルパイ、チーズケーキ、パンプキンケーキ、シンプルなスパイスケーキ、ゼリー3種。もうおなかはパンパンだけど、デザートの味を全部試さずにはいられない、欲張りな私。(今日は食べ放題じゃないんだから!)小さいかけらで、全部もらってきた。どれもこれも、ちゃんとていねいに作ってくれているのが分かる。おいしいー!

でも、どうしてなんだろう? キリスト教なわけでもない私たちにまで、こんなにすてきな料理を惜しげもなくふるまってくれるなんて? 自分も人にやさしくしなきゃなあ、というより、やさしくしたいなあ、と考えていた。
私には私の勝手な神様がいる。だからたぶん、キリスト教には入らないんじゃないかと思う。でも、今日こんなに私たちによくしてくれた人たちにひとこと言わねばと、調理場のほうに行ってお礼を言った。そしたら、「おみやげは持っていった?」なんて言われて、余ってた最後のケーキだの、クッキーだの、全部持たせてくれちゃった。お礼を言ったら、逆におみやげが増えちゃうなんて、本当に、ありがたい。

宗教は、内部の結束を強めるけど、外部とのいろんなことが難しくなる気もする。
やさしくしてあげた人が「私も人にやさしくしよう」と思ってくれただけでいい、と思ってくれたのならいいなあ。

あと、新約聖書の日本語版もいただいた。ちょうど聖書に興味があったので、これはうれしいプレゼントだった。
無宗教の人が多い日本の宗教観って、きっと他の国から見たら異常なんだろう。普通に信仰を持っている人が、NYにはたくさんいる。私ももう少し、いろんなことを知らなくてはね、と思う。
人にやさしくする。人のことをもっと理解しようとする。きっと同じことかもなあ。

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ふしぎなオザマンド。

さて、先日久々のパンやめぐりは、志半ばにして雨に負けた私とルームメイト。
雨をにらみながらの帰り道には、それでもセシ・セラにもういちど寄って帰ろうかという案が浮上したものの、「なんかラーメンが食べたい気分」のひとことに、パン狂と常人の違いを痛感したものだ。

しかしその晩。
ルームメイトが突然うなりだした。「ううー、オザマンドが食べたい!」
き、きたーーーーーーー!!! 私の友だちがまたひとり、恐ろしい妖術使い・オザマンドの餌食になってしまった!!!

というわけで、その次の日も、ちょこっとだけ出かけることにしました。週末立て続けにパンやめぐりに行くなんざ、ぜいたくこの上ない気分だ!(つくづく安い女・・・)

ところが、本日のオザマンド収穫に向かったPayardが、なんとお休み! ううー、腹へったあーー。なんか食わせろー!
というわけで、やっとたどりついたEli'sのスーパーマーケット。アーモンドクロワッサンはアメリカンな見た目だったので、同じくアーモンドクリームの入っているベアークロウの方を買った。あとは、ミニバゲットとパンオショコラ。

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Bear Claw(熊のつめ)という名前がかわいらしい。アメリカンとフレンチのごった煮よりも、いっそアメリカの野性味あふれる(いや別に熊だからじゃなくて)こういうパンのほうが魅力的。
お味も、パンチのある甘さと、屈託のないおいしさ! アーモンドクリーム自体は、同じものがざくざくのクロワッサンに入っていたら違和感あるかも。でもこのパンには、これでいい。
というか、オザマンドとなったら、戦いを挑まれているような気持ちで臨んでしまうのよね。なんとなく。これは肩肘張らずに「おいしーね!」ってにこにこかじりつけるパン。おなかも空いていたから、あっという間に消えちゃった。
バゲットは、久しぶりにそういうパンも食べたくてつい選んだんだけど、ちょっと乾燥ぎみで残念。パンオショコラは、家に帰ってから食べるおみやげ用にと取っておいたのだけど、後で食べたかんじだと、結構オイリーで、ちょっとくどいかんじかな。

さて、ここまで来たらせっかくだから同じEli'sのお店、E.A.Tにも寄る。
でも、同じEli'sのパンのはずが、値段も結構違ったり、同じ名前のパンでも形が違ったりしている。なんでなんだろう? 誰かこの謎について知ってる方がいたら、教えてくださいー!
そしてここでは、さっき見たアーモンドクロワッサンとは違う、ざくっとしたクロワッサンでできたオザマンドがあった。
ううむ、今日はまだオザマンドを食べてないし、見た目おいしそうだ・・・でも、さっきのクリームダマンドと同じかも・・・。迷った挙句、何も買わずにお店を出てしまった。

バスで南下して帰る途中。お店を離れるにつれ、「やっぱり買っておけばよかったかも・・・」という思いで、引かれた後ろ髪がちぎれそうになる。すると抜け毛を心配したルームメイトが提案してくれた。
「じゃあ帰りに、City Bakeryに寄ったら?」
・・・その手があったか!! といっても、City Bakeryにオザマンドがある確証もないし、何かそそられるパンがあるといいけど、どうかなあ・・・。

しかし、期待半分・不安半分でお店へ向かった私たちが見たもの、それは、オザマンド以上に私をくすぐり倒すモノだった!!

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じゃじゃーーーん!
いろんなパンが5個放り込まれた白い箱が、積み上げられている。
これ、5ドルなの! すっごいお得! あーん、こんなことやってるなんて! 来てよかったーーーー!!
昨日気になっていた、溶かしたお砂糖のかかったデニッシュ(うう、名前が思い出せない・・・パンオレザンのレーズン抜きみたいなやつ!)が入っている箱をより分けて、その中からいちばんすてきなメンバー構成になってるものをじっくり選ぶ。
May I help you?(とっとと選んで並びなさいよ)と来たお店のお姉さんをつかまえて、これは何のパン?と聞きまくる。「お、パンが安いんだね、じゃあハニーにひと箱買って帰ろうか」なんて、中身も見ないで箱を持っていくセレブなお兄さんとは違うのよ、私は!
というわけで、チョコクロワッサンとクロワッサンの入ったこの箱に決定。

このお店は、クロワッサンがおいしい! 昨日のプレッツェルクロワッサンは、塩との対比で生地がすごく甘く感じられるのかなと思ったけど、普通のクロワッサンも甘みがあって、バターでしっとりしてて、でも端っこのばりばりは健在。
も、Ceci-Celaの高級なチョコの味と違う。生地も、チョコも、至ってストレート。でもそこがまたいい! ドレスに日傘の貴婦人が小さくかじっては天をあおぐのがCeci-Celaなら、City Bakeryはローラーブレードのそばかす少年がくるくる回りながらかじって笑うかんじ? (なんだか分からないが、うかれている私)
そして、うずまきデニッシュ(命名した)。ああ。これはもう、想像したとおりのおいしさ。お砂糖が染み込んでばりばりになったところもよし、中のしっとりほの甘いデニッシュの層をはがして味わうのもよし。

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食べかけの画像で失礼します。Cityのチョコクロワッサンはもう消化済ですね。ああ、クロワッサンの巻きがすてき。
2個入っていたマフィンは、ラズベリーのものと、シナモン・レーズン・オレンジピール・サンフラワーシード入りの盛りだくさんのもの。これは、ひと口ちぎることも難しいぐらいに生地がぽろりぽろりとまとまりがなくて、生地は好みとは違った。でも、サンフラワーシードのほうは、大好きな組み合わせ!

というわけで、気がつけばオザマンドは食べられなかった今日のプチ・パンやめぐり。でも、オザマンドへの執着のおかげで、たくさんのおいしいパンが食べられた! ばんざいオザマンド! ・・・そしてまた遠からぬ将来、「うう、オザマンドが食べたい!」という発作が起こることは間違いない。

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それだけの感動。

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日本にいた頃、パンやさんに行くことは私の心をすっきりさせる最良の方法だった。仕事でいらついたら、帰りにパンやさんに寄った。服や化粧品やアクセサリーには一切お金を使わない分、休日にはどーんとパンを買いあさってた。
この前のCeci-Celaケーキで火がついた「そっち側のおいしさ」熱。そうだ、たまには奮発して、おいしいパンを買いに行こう! というわけで、ルームメイト(パンには特に興味なし)を引っぱって、朝食を食べずにおなかを鳴らして出発!

最近夢に見るほど食べたかったのが、クロワッサンオザマンド。フランス語で「アーモンドのクロワッサン」、つまりNYのデリにもたくさんあるアーモンドクロワッサンと同じ意味なんだけど、でも、アメリカのこれと、おフランスのこれは、まったくもって、見るからに、別物なのだ! おフランスの味を求めて向かうはもちろん、信頼度抜群のCeci-Celaっきゃない。

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クロワッサンオザマンドもショコラダマンドも、レジカウンターの小さなガラスの中に貴重品のように鎮座している。同じ3ドルなので、ついチョコレートも味わえるショコラダマンドを。このお店のチョコレートには、唸らされっぱなしだもん、間違いないはず!

木の皮みたいなこの形状を見て、誰がおいしいパンを想像するだろうか? このパンのもとになっているはずのパンオショコラはもっとしっかりした立体でつややかだったのに、オザマンドはしわくちゃのぺったんこ。でもその中には、凝縮されたおいしさがぎゅうぎゅうに詰められているのだ!
がしっとひと口噛み切ると、口の中ではぬちゃっとアーモンドクリームがつぶれてほのかな洋酒の香り。そして、まろやかなチョコレートの味。いろんな甘さが口の中で混ざり合って、時々、アーモンドクリームの攻撃を免れていたばりっとした生地の部分や、上に乗っていたぱりっとしたアーモンドスライスが飛び出してくる。で、散々口の中で暴れた挙句、甘さのとがった余韻はまったくなし。すごい。先日のケーキと同様、Ceci-Celaお得意のバランスなのだろう。絶対に私たちを裏切らないバランス。
ふたりでかわりばんこにかじっていたら、あっという間になくなった。貴重な最後のひと口の画像、ほら、おいしいところが全部写ってるでしょう?

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近くにBalthazarがあるので、こちらでもオザマンドを手に入れようと足をのばす。小さな店内には見当たらなかったけど、お店の人が奥から持ってきてくれた。
袋に重みがあって期待したんだけど、取り出してみると、なんだかアメリカンなかんじ・・・。いや、でもあんなにお店じゅうにフランス語が書いてあるのだから、味はきっと本格的なはず、とかじってみると、う・・・なんか鼻につくにおい。
最初は何か変わった洋酒だろうかと頭をめぐらせたけど、途中で気がついた。これって・・・なんか香料みたいなもの? アメリカのクロワッサンアーモンドは香料のにおいがキツイと聞いてる。きっとこれがそれに違いない。
ちなみに、クロワッサンの部分も層がないのっぺりした形で、これまたアメリカンタイプ。Ceci-CelaとBalthazar、なんとも好対照のオザマンドを立て続けに食べてしまったものだ。せめて家のオーブントースターでクロワッサンの部分をちゃんと生き返らせて食べようと、半分はお持ち帰り。

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さて次に向かうは、City Bakery。パン、ケーキ、スープやサンドイッチなど店内をじろじろ見てまわった挙句、超定番のプレッツェルクロワッサンを手に入れた。3ドル。まだほのあたたかい。
しかしこの時の私、みみっちい言い方ですが、「ちゃんと3ドル分楽しめるだろうか」という不安があった。いや、前にも食べて感動したことがあるから、このパンがおいしいことは知ってる。でも、日本でていねいに作られたおいしいパンを食べていた日々ははるか彼方。アメリカの大味さを存分に楽しんできたこの数ヶ月間の私。クロワッサン3ドルの札を見ておじけづいた今日の私。私の舌は今、どんどん退化しているんじゃないだろうか?

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・・・でも、杞憂でした。これは、そんな不安すらもはねとばす、すごいパンだった!
プレツェルな外側はばりっとかたく塩っけが効いて、でも噛むうちにクロワッサンが勝ってくる。塩のあとだから生地が余計に甘く感じられて、最後は胚芽の余韻が残る。
めくるめく口内変化とそのレベルの高さに、うならずにはいられなかった。うなっているうちにパンは終わり、それでも私はうなることをやめられなかった。5ブロック歩いて電車に乗ってもまだうなっていた。そんなパンでした。

この後は、この日がリニューアルオープン当日のMomaに行ってみる。
今日だけ入館無料ということで多少の行列は覚悟して行ったんだけど、想像を絶する人!人!人! 休日のディズニーランドのアトラクション状態に、車道の半分うめつくす蛇行した列。そしてさらに別の通りに続く列。・・・あきらめました。しかし、入館料12ドルから20ドルに値上げはひどい。そのうち、無料になる金曜日の夕方めがけて行こうっと。

もう数軒回りたかったんだけど、雨が結構降ってきて、傘を持たない私たちがふらふら歩ける雰囲気ではなくなってきた。でも、今日はもう十二分に感動したから、日を改めるのがちょうどいいかもね。
やっぱりパンはいいもんだなあーという月並みながら真実なセリフと、ふたりで10ドルぽっちで買ったとは思えない大きな感動の余韻にひたりつつ、おうちに帰りましたとさ!

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ため息ひとつ、またひとつ。

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こちらにお越しいただいてる皆様はご存知かと思いますが。
NYに来てからというもの、食べたケーキは数知れず。安くてでっかいケーキが巷にあふれている上に、ケーキミックスも心くすぐられるものが多い。そんなこんなで、毎日のように激しくケーキを口に放り込んでいる私。
だけど。だけど今日は。
ばくばく喰らいつけるのが魅力のアメリカンなケーキとはまったく異質の、なんというかわたくし、大変にすばらしく、うるおしく、華やかなりしケーキをいただいてしまったのでした。ああ。

そのお店は、ceci-cela(セシ・セラ)。NY好きのスイーツ好きなら知らない者はいないであろう、有名なお店。以前パンオショコラのコンクールで賞をとったんだそうで、パンオショコラは試したことがあるのだけど、ケーキは初めて。
箱を開けたとたん、漂うオーラがすでに、いつものケーキと違う。アメリカ産のド迫力とは正反対の、繊細な、芸術的な、触れずに眺めていたくなるような、きらきらが箱から飛び散った。すてきです。すてき。

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ラズベリーとチョコレートのケーキ。
見てちょうだい画像を。ラズベリーの切り口がずらり並ぶように計算してある、この美しい断面。下半分のチョコレートも、ただのスポンジではなくガトーショコラのようにみっちりチョコレートの詰まった上部とふんわりしたスポンジの下部に分かれている。バランスとしては、ラズベリーが主役でそこにチョコレートが華を添えてるかんじ。
チョコの甘さやラズベリーの酸っぱさで、いろんなところを順番にくすぐられて、最後にすっと消えちゃう。全然しつこくなくて、夢を見てるみたいな気持ち。

エクレア。
中はカスタードだと思い込んでかじったら、チョコレートクリームだったのでびっくり。しかもそれがまた、おいしいの! かたくてどっしり、甘さもしっかりしているのに、口の中でふわりと溶ける。そのクリームとハードな皮が、これ以上ないバランス。皮が柔らかかったら淡白だし、これ以上かたかったら、皮だけが口に残っちゃう。エクレアごとき(問題発言?)でこんなに感動した自分にまたびっくり。

洋ナシのケーキ。
シンプルな作りだけど、洋ナシの煮ぐあい、洋酒の効かせ具合、甘さ加減、どの部分もとがらない優しいおいしさ。全体的にまあるくやわらかい雰囲気でまとめてあるのに、食べ応えはわりとあるのがまたすてき。

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ブラックフォレスト。(ブラックチェリーとチョコレートのケーキ。)
もう何度も繰り返すようだけど、生クリーム、スポンジ、どこをとってもため息もののおいしさ。でもこのケーキで特筆すべきは、いちばん下に置いてある、クッキー!! 他のすべての部分が放つ上品さを、この超ハードなクッキーがひとりでどんと受け止めているのだ! しかも、クッキー(というか、サブレみたいな)これ自体が、ものすごくおいしいの!! どのくらいおいしいかって、私が「最後のひと口」に、このクッキーのみを選んでしまったぐらいに!!

注・私にとって「最後のひと口」は大変に重要な意味を持つ。食事でも、デザートでも、次に口にものを入れるまでの数時間おいしかった記憶を反芻し続けるためには、「最後のひと口」がそのとき食したものの最高の配合でなくてはならない。すべての咀嚼は、「最後のひと口」のための緻密な計算だといっても、過言ではない。
カレーライスの最後のひと口は、多めのルーにじゃがいも半かけとお肉をひとかけと少しのごはん。スイカの最後のひと口は、最も甘い中央部分。(この部分を残すためには、高度な技術が必要である。)そしてケーキの場合、最後のひと口は、スポンジ・クリーム・フルーツetc内容物のすべてが最良のバランスで盛り込まれたものとなるのが通例。
つまり、クッキーのみが最後のひと口に選ばれるなんて、前代未聞のできごとなのである!!! (・・・この熱い思い、わかってもらえるのだろうか???)

それはともかく、すべてのケーキがおいしかった。いや、おいしかったはいつものセリフだから、うーん、なんていうか、美味でした。いつくしんでいただきました。部屋の中は私のため息でいっぱいでした。

最初のほうでアメリカのケーキと比較したけど、アメリカンケーキとフレンチケーキは同じケーキ部門でくくれないぐらいに、楽しみ方が違う。私はもちろん、どっちも好き! どっちもおいしい! でも最近、ため息の出ちゃうようなこっち側のおいしさはとんとご無沙汰だったから、余計に新鮮だったのかも。
いやあ、いいもんです。こっち側のおいしさも。大変にすてきでした。はあ。思い出せば、またため息。しばらく部屋の換気が欠かせません。

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